『全国・俳枕の旅62選』広渡敬雄
2024年4月25日木曜日
2024年4月22日月曜日
●月曜日の一句〔坪内稔典〕相子智恵
相子智恵
今午前十時三分チューリップ 坪内稔典
句集『リスボンの窓』(2024.3 ふらんす堂)所収
時間とチューリップだけが置かれた句。〈今午前十時三分〉という時間設定がなかなかである。まず、午前午後も含めてきっかりと今の時刻を描きこんだことで、時間に敏感になる平日を想像する。チューリップが咲く、年度初めの忙しい頃だ。
そして、〈午前十時三分〉というオンタイムに、たぶん晴れていて、チューリップがよく見える場所。例えば公園の花壇など……で、チューリップを眺めていられる人というのは、ビルの中で働く人や学業にいそしむ人などは、自然と想像から省かれるわけで、それだけで不思議とのんびりした気分が出てくる。リタイアして時間に余裕のある人か、あるいはちょっと「さぼり」の気分がある感じ。
さらに掲句の音、「ジュージサンプン/チューリップ」あたりの口が喜ぶ語呂のよさは、無造作なようで実はよく練られたものである。
偶然性を喜び、技巧を凝らさないようでいて、読者に与える印象は作者としてしっかり構築している。こういう「抜け感」(ファッション誌でいうところの、気取らずにリラックスした雰囲気を感じさせる、余裕のある洋服の着こなしのこと)のつくり方が、いつも見事な作者だと思う。
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2024年4月21日日曜日
●川柳関連記事リンク集 その2 『週刊俳句』誌上における
川柳関連記事リンク集 その2
『週刊俳句』誌上における
■飯島章友 川柳はストリートファイトである 第412号2015年3月15日
■飯島章友 何度も反す八月の砂時計2 第489号 2016年9月4日
■恋するわかめ、或いはわかめの不可能性について 川柳はときどき恋をしている 柳本々々 第451号 2015年12月13日
■あとがきの冒険 第23回 って・途中・そ なかはられいこ『大人になるまでに読みたい15歳の短歌・俳句・川柳 ③なやみと力』のあとがき 柳本々々 第512号 2017年2月12日
『週刊俳句』誌上における
■飯島章友 何度も反す八月の砂時計 1 第488号 2016年8月28日
■小池正博に出逢うセーレン・オービエ・キルケゴール、あるいは二人(+1+1+1+n+…)でする草刈り 柳本々々 第403号 2015年1月11日
■俳句/川柳を足から読む ホモ・サピエンスのための四つん這い入門(或いはカーニバルとしてのバレンタイン・メリイ・クリスマス) 柳本々々 第408号 2015年2月15日
■【川柳訳】Stand by Me - B. E. King 柳本々々 第410号2015年3月1日
■あとがきの冒険 第17回 会える・ときに・会える 時実新子『新子流川柳入門』のあとがき 柳本々々 第503号 2016年12月11日
■あとがきの冒険 第20回 斡旋・素手・黒板 樋口由紀子『川柳×薔薇』のあとがき 柳本々々 第509号 2017年1月22日
■ことばの原型を思い出す午後 飯島章友の川柳における〈生命の風景〉について 小津夜景 第510号 2017年1月29日
■八上桐子『hibi』を読む 三島ゆかり 第828号 2023年3月5日
■川合大祐川柳句集『スロー・リバー』を読む 三島ゆかり 第832号 2023年4月2日
■【柳誌を読む】『川柳ねじまき』第2号(2015年12月20日) 西原天気 第455号 2016年1月10日
■非-意味とテクスチャー 八上桐子の川柳 西原天気 第828号 2023年3月5日
■特集 柳×俳 第383号 2014年8月24日
■柳俳合同誌上句会2020
■柳俳合同誌上句会2022
2024年4月20日土曜日
●川柳関連記事リンク集 その1 『週刊俳句』誌上における
川柳関連記事リンク集 その1
『週刊俳句』誌上における
■「水」のあと 齋藤朝比古×樋口由紀子 第7号 2007年6月10日
■柳×俳 7×7 「水に浮く」「水すべて」を読む 上田信治×西原天気 第7号 2007年6月10日
https://weekly-haiku.blogspot.com/2007/08/blog-post_19.html
■親切で誠実な批評 樋口由紀子『川柳×薔薇』を読む 西原天気 第251号 2012年2月12日
■川柳という対岸 『バックストローク』最終号を読む 西原天気 第242号 2011年12月11日
■川柳大会の選句をしました 西原天気 第399号 2014年12月14日
■柳×俳 7×7 樋口由紀子×齋藤朝比古 第6号 2007年6月3日
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■「悪」のあと 仲 寒蝉×小池正博 第9号 2007年6月24日
■柳×俳 7×7 「金曜の悪」「絢爛の悪」を読む 島田牙城×上田信治 第9号 2007年6月24日
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■柳×俳 7×7 なかはられいこ×大石雄鬼 第16号 2007年8月12日
■同(下)遠藤治・西原天気 第 18号 2007年8月26日
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■川柳 「バックストローク」まるごとプロデュース号 第150号 2010年3月7日
■〔週俳3月の俳句・川柳を読む〕穴について 斉藤齋藤 第156号 2010年4月18日
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■爽快、「理解不能で面白い」という感じ方。樋口由紀子『川柳×薔薇』を読む 山田耕司 第213号 2011年5月22日
2024年4月19日金曜日
●金曜日の川柳〔竹井紫乙〕樋口由紀子
樋口由紀子
両足がつった場合のセロテープ
竹井紫乙(たけい・しおと)
同じテープだけれど「テーピングテープ」では?とまず思ってしまった。川柳は事実を書くものだけではないから、もちろんかまわないけれど、軽く心地よく裏切られる。「セロテープ」を入れることのよって、「テーピングテープ」が飛んでいく。「テーピングテープ」が抜けることによって、「セロテープ」が浮き上がってくる。
「セロテープ」のどことない寄る辺なさが意外なほどの存在感を発揮する。なぜ、「両足がつった場合」なのかは謎だが、言葉の綾を活用して、言葉を動かすおもしろさがある。文脈の中で生じる意味を楽しみたい。
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